円売りポジションが過去最大に、反発時はショートカバーで力強い上昇の可能性
ヘッジファンドによる円先物の売りポジションが過去17年間の最大規模に膨らんでいます。この状況から、34年ぶりの安値に沈んだ円が今後反発する際には、ショートカバー(空売りの買い戻し)を原動力とした力強い上昇になる可能性があります。
円売り越しは2007年以来の最大規模、円安に拍車
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドなど投機筋による円の売り越しは2007年6月以来で最大となっています。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模です。この円売りの増加が、年初からのドルに対する9%近い下落と、G10通貨の中で最も軟調な動きにつながっているとみられます。
円買い介入への警戒感と安全通貨需要の高まりも
円売りがここまで増えると、ちょっとしたきっかけでヘッジファンドがポジションを巻き戻し、利益を確定するかもしれません。また、円安が進むにつれて日本政府・日銀による円買い介入への警戒感も強まっています。さらに、中東情勢の緊迫化という材料が突如登場したことで、安全通貨への需要が高まる可能性もあり、円を売っているトレーダーは難しい判断を迫られるでしょう。
円売られ過ぎの見方も、ドル独歩高には警鐘も
ソシエテ・ジェネラルのキット・ジャックス氏は、円は売られ過ぎだと考えているものの、今は耐える時だと説明しています。一方、スタンダード・バンク(ロンドン)のスティーブ・バロウ氏は、ドルに対する過度の楽観論に警鐘を鳴らしており、日本が市場介入を実施すれば、ドルは円に対してだけでなく、より幅広く急落するだろうと指摘しています。
今後の円相場の動向は、ヘッジファンドのポジション動向や日本当局の市場介入の可能性、そして地政学リスクなどを注視していく必要がありそうです。
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