ビットコイン価格が史上最高値を更新、半減期を前に市場は熱気
代表的な暗号資産であるビットコインの価格が1100万円に迫り、史上最高値を更新しました。暗号資産の大手交換会社・ビットフライヤーによると、1ビットコインあたりの円建ての価格は今月8日に1099万円まで上昇し、去年末に600万円程度だった価格から4か月足らずで60%以上の急騰となっています。投資家の間では、今週末にも行われる見込みの4年に1度の「ビッグイベント」である半減期が大きな話題になっているようです。
アメリカでのETF承認とビットコインへの資金流入が価格上昇の背景に
今回の急騰の背景には、アメリカでの動きが大きく影響しているとされます。アメリカの証券取引委員会が今年1月、現物のビットコインに連動するETF(上場投資信託)の上場申請を初めて承認したことで、暗号資産の交換所に口座がなくても証券口座を通じて間接的にビットコインに投資できるようになり、投資家層の拡大と資金流入の加速につながったと考えられています。
マネックス証券の松嶋真倫・暗号資産アナリストは、ETFを通じたビットコインへの資金流入の動きがアメリカ以外にも広がりつつあり、市場動向に影響を及ぼしている可能性があると分析しています。
半減期への期待感も価格上昇を後押し
さらに、ビットコインの重要イベントである「半減期」も取引価格の上昇に影響していると指摘されています。半減期とは、ビットコインの取引データの安全性を確保するために行われる計算処理の報酬が半減するタイミングのことで、ビットコインの総発行枚数が2100万枚に制限されていることから、段階的に訪れます。
過去3回の半減期後には、実際にビットコインの価格が大幅に上昇しました。
過去の半減期の時期と価格推移:
1回目 2012年11月28日 900円→12万円(約1年後)
2回目 2016年7月9日 6万円→230万円(約1年半後)
3回目 2020年5月11日 85万円→660万円(約1年後)
今回の半減期を前に、需給の引き締まりによる価格上昇への期待感が市場の注目を集めています。半減期は暗号資産の世界で「業界のオリンピック」とも表現され、市場関係者の間では過去の半減期の時期と価格推移が注目されています。
今後の市場動向とリスクは?
ただし、今回の半減期は、過去3回とは異なり、半減期を迎える前に史上最高値を更新しているという特異な状況にあります。SBI VCトレードの西山祥史アナリストは、「半減期を前にビットコインの需給がすでにひっ迫している」と指摘し、今後の市場動向は以下の3つの条件がそろうかどうかに左右されると分析しています。
アメリカの利下げが、市場の想定通り行われるか
株式市場の「適温相場」の持続=投資家がリスクを取る姿勢を強めるか
アメリカのインフレ率と長期金利が低下するか
条件がそろえばさらなる価格上昇の余地がある一方で、インフレの長期化や金融引き締めの長期化などがリスクシナリオとして指摘されています。アメリカの証券当局も、ETFの承認に際して、ビットコインが投機的で価格変動の大きな資産であることを強調し、投資家に注意を促しています。
足もとでは、中東情勢の一段の緊迫化に加え、市場予想を上回るアメリカの経済指標が相次ぐ中で、インフレ長期化の観測が高まりを見せています。暗号資産は歴史的に乱高下を繰り返してきただけに、今後の動向を冷静に見ていく必要がありそうです。
日銀の金融政策決定会合にも注目
来週は日本銀行が金融政策を決める会合を開きます。日銀は前回・3月の会合でマイナス金利政策の解除などを決めましたが、その後、市場では記録的な円安が進んでいるほか、アメリカのインフレの長期化の観測が広がっています。こうした状況も踏まえて、植田和男総裁が今後の対応についてどのような見解を示すかに投資家が注目しています。
日銀の金融政策と世界的な金融情勢の変化が、ビットコインを含む暗号資産市場にどのような影響を及ぼすのか、注視していく必要がありそうです。
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