ビットコイン10%下落、中東情勢悪化で市場に不透明感 – 米金融政策への期待後退も影響

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ビットコイン、過去最高値から10%下落 – 米金融政策への期待後退が背景

暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインは、2日の取引で下げ幅を拡大している。背景には、ビットコイン上場投資信託(ETF)への需要減速と、米金融当局の金融緩和策への期待後退がある。

ビットコインは一時5.3%安の6万6044ドルまで下落し、ロンドン時間の早朝取引では6万7000ドルを下回る水準で推移。ぺぺやドッグウィフハットなどのミームコインも軒並み下落しており、小型の暗号資産指数の2日間の下げ幅は過去約2週間で最大となった。

年初から急ピッチで上昇していた暗号資産市場だが、そのモメンタムは失速しつつある。米国の根強いインフレを受けて利下げ観測が後退し、米国債利回りとドル高が進む中、ビットコインなどの投機的資産は打撃を受けやすい状況だ。

OSL SGのトレーディング責任者、シュテファン・フォンヘーニシュ氏は、米金融政策を巡る市場の見方の変化が暗号資産市場全体に影響していると指摘。「週初から徐々に売り圧力が強まっている」とし、「特に、これまでビットコインをアウトパフォームしてきたミームコインなどは影響を受けやすい」と付け加えた。

ビットコインは3月の過去最高値7万3798ドルから約10%下落して推移しており、現物投資型ETFへの資金流入鈍化が上値を抑えている。

ブルームバーグのデータによると、1日にビットコインETF10本から8600万ドル(約130億5000万円)の純流出があった。1月11日のETF開始以降の累計流入額は約120億ドルに上る。

イランのイスラエル攻撃で地政学リスク高まる – 原油価格の100ドル突破も警戒

イランがイスラエルに対し前例のない直接攻撃を行ったことで、週明けの金融市場では地政学リスクへの警戒感が一気に高まりそうだ。今回の攻撃が報復の連鎖につながることが懸念される。

インフレ長期化と高金利の継続見通しにすでに動揺していた投資家心理に、中東情勢の緊迫化というボラティリティ要因が加わることになる。

昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲以降、市場関係者が最も恐れていたのはイランの紛争への直接関与だった。その懸念が現実のものとなった今、原油価格の1バレル100ドル突破観測が強まっている。紛争拡大を受けた安全資産需要から、米国債や金、ドルなどに資金が流入し、株式市場では売り圧力が高まる可能性がある。

ただ、イランの攻撃実施で一気に高まった緊張も、その後の情勢次第では幾分和らぐ可能性はある。イラン側は、イスラエルが強硬な反応を見せない限り追加攻撃は行わないと説明。またバイデン米大統領がイスラエルのネタニヤフ首相に、イランへの報復を支持しない意向を伝えたとの報道もある。

プルリミ・ウェルスのパトリック・アームストロングCIOは、「こうした局面で投資家が取る自然な行動は安全資産への逃避だ」と指摘。その上で、「イスラエルの出方次第で市場の反応は変わるだろう。事態のエスカレートを避ければ、リスク資産の買い場となるかもしれない」との見方を示した。

ビットコイン反発、中東リスクを織り込んだ動き

14日の取引では、前日に1年ぶりの大幅安となったビットコインが反発した。

イスラエルやサウジアラビア、カタールなど中東各国の株式市場は薄商いの中、小幅安にとどまっている。

イースト・キャピタルのエムレ・アクチャクマク氏は、「イランの攻撃後、中東市場は比較的冷静なスタートを切った。攻撃は事態のエスカレートを狙ったものというより、慎重に計算された報復と受け止められている」と分析。ただ、「原油など燃料価格を通じた二次的な影響で、中東以外の市場にも波及し、世界的なインフレ見通しにも影響を与える可能性がある」と付け加えた。

アンドバンクのゴンザロ・ラーディース氏は、「新たな不透明感が市場を覆った。とはいえ12日の取引で、ある程度織り込み済みでもあり、さらなる悪化がなければ影響は限定的だろう。懸念材料は事態のエスカレートと、中東域内での飛び火だ」と述べた。

シンガポールを拠点とするバンク・ジュリアス・ベアのマーク・マシューズ氏は、「イランが攻撃を事前に予告していたのは良かった。軍事アナリストによると、犠牲者を最小限に抑える形で攻撃は実行された」と指摘。その上で、「イランも米国も、危機の沈静化を望んでいる。カギを握るのはイスラエルの反応と、それに対するイランの出方だ。イスラエルが事態のエスカレートを招かない程度の攻撃にとどめ、イランもさらなる攻撃を控えれば、一連の騒動は収束に向かうだろう」との見方を示した。

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