円安進行の可能性も170円は基本シナリオではない

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円安進行の可能性、ただし170円は基本シナリオではない:ティー・ロウ・プライス

円相場は引き続き下落し、1980年代以来の水準にまで落ち込む可能性があると、ティー・ロウ・プライスのグローバル債券ポートフォリオマネジャー、クエンティン・フィッツシモンズ氏が指摘しました。日本銀行が大幅な利上げに消極的なことが主な要因だと分析しています。

同氏は、現時点での大幅な円高は日本の利益にはならず、債務の持続可能性への懸念から、日銀は大幅な利上げを望んでいないだろうと述べました。円相場は90年以来の円安水準にあり、日本の当局者は必要に応じて円を支える措置を講じる用意があることを示唆しているものの、日銀の金利は米国を大きく下回っており、円の下支えにはほとんど寄与していません。

こうした状況下、円は今年に入ってから対ドルで8%余り下落し、1ドル=154円台を付けました。フィッツシモンズ氏は、米国の強いデータを受けて利下げ先送りが見込まれる中で進んでいるドル高が、円安の主因だと分析しています。

市場は日本の通貨当局による介入の可能性がある水準として152円を注視していますが、現時点ではそのような明確な兆候は見られません。ヘッジファンドは既に円安を見込んだポジションを2018年1月以来の水準に膨らませています。

同氏は円安進行を見込むものの、170円を付けることは基本シナリオではないと述べました。大規模なショートポジションに対する適切なタイミングでの介入は、ショートスクイーズにつながる可能性があり、日本の通貨当局はサプライズ要素を達成するために戦術的に行動すると予想しています。また、当局者は現在の150円前後の水準に「かなり満足している」ようだとし、125円や130円といった円高水準はディスインフレのショックにつながるため望んでいないだろうと見ています。

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