「60/40」投資戦略に疑問符?米国債利回りの急落で有効性が揺らぐ

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株式市場と債券市場のバランスを取るために長年利用されてきた「60/40」投資戦略。しかし、米国債利回りの記録的な下落によって、その有効性が問われています。

「60/40」戦略とは?

「60/40」戦略とは、ポートフォリオの60%を株式、40%を債券に配分するという投資手法です。1950年代以降、リスクとリターンのバランスが取れた戦略として広く利用されてきました。実際、過去30年間では、債券のみに投資する戦略を上回るパフォーマンスを示してきたのです。

米国債利回りの急落が与える影響

しかし、現在の米国債利回りはゼロ付近で推移しており、今後もこの水準が続く可能性が高いと考えられています。このような状況下では、「60/40」戦略が過去のような高いリターンを生み出すことは難しいでしょう。

過去にも疑問視された「60/40」戦略

ただし、「60/40」戦略の有効性が疑問視されるのは今回が初めてではありません。株式市場が好調な時期には、この戦略を採用していた投資家から不満の声が上がることもありました。しかし、今年のようにボラティリティーが高まる相場においても、「60/40」戦略はプラス2.5%のリターンを生み出し、投資家を守ったとJPモルガン・チェースのジャン・ロイズ氏は指摘しています。

運用担当者が注目する新たな投資先

とはいえ、米国債利回りが過去最低水準にある現在、債券市場の上昇余地は限られており、株価下落時のヘッジとしての役割を果たせるかは不透明です。そのため、運用担当者は米国債以外の、値上がり余地が大きいと考えられる証券に注目し始めているのです。

投資家に求められる柔軟な発想

USバンク・ウェルス・マネジメントの債券調査責任者であるビル・メルツ氏は、「何でもよいから利回りを追求したいという誘惑は強い」と述べ、多くの投資家が戦略の見直しを迫られていると指摘しました。
JPモルガンの長期投資戦略担当上級顧問であるロイズ氏は、今後10年間の「60/40」戦略のリターンを年率3.5%程度と予測。代わりに、株式を40%、債券を20%、転換社債などの証券を40%とする新たなポートフォリオを提案しています。このポートフォリオであれば、年率リターンを4%強に高めることができるとロイズ氏は分析しているのです。

まとめ

「60/40」戦略は長年にわたり投資家に支持されてきましたが、米国債利回りの急落によってその有効性が揺らいでいます。今後は、従来の戦略にこだわらず、柔軟な発想でポートフォリオを組み立てていくことが求められるでしょう。

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